【理学療法】脳卒中で介入の際に気をつけるポイントを紹介します

理学療法

病期に関わらず、脳卒中後の対象者とリハビリをする人は一定数いると思います。

回復期病棟での経験を活かして、脳卒中で介入の際に気をつけるポイントについて紹介していきたいと思います。

急性期や維持期でも比較的同じようなことは考えられると思うので応用はできるんじゃないかと思います。

特に、

回復期で働いている、回復期から退院した利用者を診る機会がある

という方は必見の内容になるかと思うのでぜひご覧になってください!

自分自身は、

急性期に5年、回復期に移り5年目になる理学療法士
脳血管患者を中心に様々な疾患のリハビリ経験あり
脳卒中認定理学療法士取得

です。

臨床経験10年目を迎える自分が老若男女様々な利用者を経験し蓄積した学びました。

そんな自分が考える脳卒中の介入で気をつけるポイントをぜひみていってください!

あくまで個人の考えなので「そう言った考えもあるか!」といった感じで参考にしてもらえるとありがたいです!

 

1番大切なことは評価

評価が大切なのは学校でも、臨床に出てからもよく聞くと思います。

私も評価は非常に大切だなと日々感じます。

まず必ず診る4つのポイントを挙げます。

・麻痺側機能をSIAS,BRSで評価する、一定期間で再評価をする(回復期なら4週間程度)
・感覚障害より運動麻痺が予後に影響するけど感覚も評価し、視覚代償もうまくいくか評価する
・非麻痺側機能も評価、機能が良ければ低いBRSでも歩行可能となる場合もある
・脳画像と既往歴を確認する、重症のケースや糖尿病があると改善に影響する

の4つです。

当たり前のようですが、やっぱり基本は大切なんだなと思います。

基本の評価ができてから、個別性のある介入や思考に派生していくのがいいかなと思います。

また、標準的な評価を用いることで画一された評価が常にできるのでおすすめです。

中には自分独自の評価をして介入につなげるといった考えもあるかと思います。
ダメじゃないですが、取りこぼした評価があるといけないので私はしないです!

次からは4つの挙げた項目についてそれぞれ見ていきます。

 

麻痺側機能をSIAS,BRSで評価する

SIASやBRSは共に推奨度の高い評価方法で比較にも適しています。

低緊張(BRSⅡ)や分離が進んだ状態(BRSⅣ以上)は積極的に歩行練習をするようにしています。

※もちろん例外もあります!

さらに低緊張(BRSⅠ)では関節などに負担がかかったり、介助者の負担を考え、立位練習までにすることもあります。

1番悩ましく、個別に対応していく必要が高いのがBRSⅢの時期です。
どんどん練習をしたい思う反面、痙性が高まりすぎで痛みや痺れに繋がる、うまく歩けず体力だけ消費する、代償が入りすぎるなど考えるだけで練習を減らしたくなります。

疲れがこない程度の歩行量でいいかと思います。

練習で何十mも歩行できないと退院した後もやっぱり難しかったり、本人も大変で屋内を少し歩くのが実用的な歩行となる場合が多いです。

無理をしてどんどん歩くより、

うまくいけばこのくらいの距離は楽に歩ける

といった経験を積み重ねる方が大切です。

また、一定期間後に同じ評価方法で再度評価をします。

改善の程度や速さを評価することで予後の予測に繋げます。

また、本人の内観(本人の感じ方)も非常に重要です。

全てを鵜呑みにして希望通りに進めることは難しいかもしれませんが、

よくなっている!! or もっとここがこうなればなぁ・・・

など感想があるともうので聞いてみるといいかもしれません。

 

 

感覚障害より運動麻痺が予後に影響する

歩行の予後を決定つける大きな要因は感覚障害でなく、運動麻痺の程度です。

※ほかにも既往歴や年齢など様々あります。

ですが、感覚障害の程度を評価し、視覚代償もうまくいくか評価することも大切です。

最初に評価する感覚障害が思ったより大きな障害があっても、運動麻痺が重度でなければ歩行への予後もそんなに暗くないはずです。

感覚障害がほとんど脱失に近い症例を何症例か担当したり、代診で介入したことがありますが、若年であれば歩行で退院する場合がほとんどでした。

目で見て確認する

ことが習慣になれば安全な歩行を獲得することができます。

この目で見て確認するが、

高次脳機能障害
半盲
性格がおおざっぱ

などで困難な場合があります。

そう言った場合は杖などでさらに代償する方法を提案します。

性格がおおざっぱで危ないという要因も挙げましたが、病気の影響より強い場合があるのはみなさんも経験があるのではないかと思います・・・

視覚代償も得ますが、歩行をリズミカルにパターン化した一連の動きとして実施できる機能が哺乳類には備わっています。

これを活用するというと嘘に聞こえてしまいますが、

要は歩くという本来の動作を脳卒中後に変化した動作と混ぜ、安全に歩行出来るレベルまで高めるイメージだと思います。

歩行の再獲得といった言葉で使われることが多いと思いますが、

いい歩行をたくさん

できればいいのではないかと思うので、

いい歩行のためには何が必要なのか?
たくさん歩くためには何が必要なのか?

といった部分が個別性に当たると思うのでよく考えていくといいと思います。

 

非麻痺側機能も評価

麻痺側の評価も重要ですが、非麻痺側の機能の評価も非常に重要です。

なぜなら、機能が良ければ低いBRSでも歩行可能となる場合も多いからです。

非麻痺側や体幹の機能を評価することで、対象者の残存機能を把握し、予後を予測することができます。

非麻痺側の下肢や体幹機能が優れていると、麻痺側の機能を補うことができます。

例えば、下肢であれば麻痺側の振り出しを十分に行うだけの機能がなくても、非麻痺足の立脚期が十分に保つことができれば、ゆっくりでも歩けますし、体幹の機能が良好であれば、振り出しを代償することができます。

麻痺側の介入ももちろん重要ですが、

対象者のどこを伸ばしてあげれば、歩行が再度可能になるか?

ということを考えて、非麻痺側や体幹への介入を重点的にする場合もあります。

特に、BRS Ⅰ〜Ⅱの低緊張では、基本動作や移乗で非麻痺側が十分に活用できるというのは大きなメリットになります。

介入や予後を見通す、様々な場面で非麻痺側と体幹の機能評価は役立ちますので十分に行ってください!

SIASなどでざっくりと入ってくるものを見ておいて、あとは必要に応じ診ていくといいと思います。

 

脳画像と既往歴を確認する

画像から分かるような重症のケースや糖尿病があると改善に影響する場合があります。

見方が難しい場合もありますが、こちらの書籍と照らしわせてみるとわかりやすいです。

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ネガティブな要因として代表的なものが、

梗塞範囲が広い、錐体路にかかっている、基部の血管の狭窄がある、糖尿病がある、高血圧症がある、心疾患があるなど

挙げ出したらキリがなく、予後を不安にさせる要因というのはいくらでもあります。

また、上記でも少し触れた、性格も介入に影響を与えます。

抑うつ傾向が強くなったり、新たに現れる場合が多く、積極的に介入に取り組めないと同様に影響があります。

精神機能については、内服の調整にも関わることなので主治医に相談するといいと思います。

4〜5ヶ月程度経過している脳卒中の対象者で上記のような要因がある場合は機能改善は大きくは期待できなくなってくると思います。

経過期間も踏まえると、環境調整や補助具の検討、家族への支援の方法の伝達など維持期への準備が始まります。

 

まとめ

診るべきポイントについて紹介しました。

改めてポイントをおさらいします。

・麻痺側機能をSIAS,BRSで評価する、一定期間で再評価をする(回復期なら4週間程度)
・感覚障害より運動麻痺が予後に影響するけど感覚も評価し、視覚代償もうまくいくか評価する
・非麻痺側機能も評価、機能が良ければ低いBRSでも歩行可能となる場合もある
・脳画像と既往歴を確認する、重症のケースや糖尿病があると改善に影響する

です。

最後に重要なことは、

担当者のあなた1人で利用者のその後の生活について背負えますか?

ということです。

責任を転嫁するということではありません。

また、

しのたく
しのたく

診るべきポイントをしっかりとおさえられる人と、取りこぼしてしまう人と様々いると思いますし、ポイントが同じでも改善する方法に違いが出るということは多くあります。

そういったことも踏まえると、

自分1人だけの考えでなく、様々な角度からの意見をもらい、総合的に判断した方針や内容によって利用者と関われるとより総合的なアプローチができていると言える

と思います。

 

そのためには、同じグループのスタッフ、先輩、後輩、上司と自分の考えも持ち寄って話し合って方針や介入内容を決定するといいと思います。

 

自分の考えをまとめる際に上記の内容が参考になれば幸いです^^

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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